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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
「何でございましょう」
 嘉宣も端座したまま、応える。
「そなたは、もう正室は娶らぬおつもりか」
 わずかな沈黙の末、嘉宣は静かな声で頷いた。
「はい」
 春瑶院の細い眼がカッと見開かれた。
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