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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
「まさか、殿はあの橘乃なる女の生んだ子に家督を継がせるおつもりにございましょうや」
 春瑶院の声が戦慄く。
 嘉宣は更に握りしめた拳に力を込めた。
「当然にございましょう。むろん、生まれるのが若であればの話ですが。ま、最初は若でも姫でもよろしいかと思うております。橘乃も私もまだまだ子は授かることができましょうほどに」
「嘉宣どの」
 春瑶院が初めて名前で呼んだ。
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