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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 この醜い容貌が気に入られないのかと、装いにも工夫を凝らし、化粧も美しくして身を飾った。が、彼女の努力はすべて空しいものに終わった。
 この息子は、あの男にそっくりだ。整った顔立ちも冷たく彼女を見据える凍てついた瞳も、何から何まで憎らしいほど似ている。
 私は、この子を見る度、腹立たしい想いに苛まれてきた。まるで道端の石ころのようにしか彼女を見ようとしない良人の面影がちらついて、この子を見ていると、言い様のない苛立ちと怒りに襲われた。
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