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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第5章 【参】
 彼女は常にそうやって言い訳しながら過ごしてきた。息子のことだけではない。彼女にとっては、すべてが自分中心に回っており、何か不幸が起きれば、それはいついかなるときも彼女が悪いのではなく、他の彼女以外のものが原因なのだ。
 そうやって自らを省みることなく過ごしてきて、彼女はこの歳になった。
―その気位の高さゆえに、父上のお心が母上から離れていった最大の原因だとは気付いてはおられぬ。
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