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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 父に似ているというただそれだけの理由で嫌われていると知ってから、嘉宣は母に寄り付こうともしなくなった。彼にとっては、二つ上のこの姉が母であった。
 実際、姉である輝(てる)姫は実に面倒見の良い女である。器量良しとはいえないが、気立ての良さはその不器量さを補って余るほどであった。妻にと望むのなら、このような女性の方が好ましいのではと、嘉宣はつくづく思う。
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