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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
「長口上は良い。何の用で参ったかは知らぬが、まずそなたの名を訊こう」
 形式張った挨拶を遮り、春瑶院は傲岸な口調で言った。
「私は上屋敷の奥向きにご奉公する琴路と申します」
 女はいっそう頭を畳に押しつける。
 春瑶院の脳裡に、何かが引っかかった。
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