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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 また、これは広言はできないが、輝姫に二度も許婚者を失っている負い目があり、更に島津藩とは格段の違いの小藩の出であるということも大いに関係しただろう。引け目があれば、婚家であまり大きな顔もできないと踏んだのだ。
 先代島津藩主とは異なり、姉の伴侶となる人は、逝った先妻を哀れんで、ずっと独身を通してきたという。ちなみに現藩主斉(なり)範(のり)の父斉(なり)柄(えだ)もやはり二十代で妻を喪ったが、父親の方は二十人近い側室を有していることで知られていた。
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