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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 もっとも相手は姉より十五歳も年上で、しかも後添えという話ではあるが、それでも大藩への輿入れは、たった三万石の木檜藩から見れば、玉の輿に相違なかった。
 輝姫はかねてより楚々として控えめな人柄であると噂されていた。島津家ではその点を高く評価しており、今回の縁組が実現したのである。島津家には既に前(さき)の正室の生んだ嫡子がいる。輝姫のような女性であれば、万が一、男子を成しても我が子を世継にと野心を抱き、無用のお家騒動を引き起こすことはないと期待したのであった。
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