この作品は18歳未満閲覧禁止です
妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章 【四】
立ち上がりかけた玄馬がふと思い出したように問うた。
「そうそう、大切なことを訊くのは忘れるところであった。橘乃さま、今回のご母堂さまお生命を狙い奉る一件の首謀者はいかに」
まるで取って付けたような質問だ。最初に嘉宣をその気にさせたのは確かに橘乃に相違ないが、この謀を成し遂げるために誰が中心となって動いたのか、玄馬にはいやというほど判っているはずだろうに。
だが、橘乃一人に罪を着せるためには、この質問はとても重要な意味を持つのだ。