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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
 春瑶院はこの際、橘乃と嘉宣もろとも潰してしまおうと目論んでいるのだろうが、家老を初め重臣たちは、恐らくは嘉宣の生命だけは助けたいと思っているはずだ。
「そのようなこと、今更申し上げずとも、もうお判りでございましょうに。こたびのことはすべて私が一人で画策したまでのことにて、殿は一切拘わりございませぬ」
 橘乃は凜として自らの罪を認めた。
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