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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
―貴様ら、誰の許しを得て、このような無体をする?
 鋭く訊ねたが、彼等はただ〝春瑶院さまの仰せにござる〟の繰り返しであった。
―橘乃!
 呼ばわった嘉宣に、橘乃はふわりと笑んだ。
―嘉宣さま、橘乃はいついつまでも嘉宣さまをお慕い致しておりまする。
 まるで、花がほこんでゆくような微笑だった。あの別れ際の表情がいまだに瞼に灼きついている。
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