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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
「はっ、委細、相違ござりませぬ」
 その瞳の奥に潜む真実を見極めようとしても、老獪な家老の瞳には何の感情も表れてはいない。
「そうか、ならば良い」
 嘉宣はもうすべてのものに興味を失ったように、玄馬に背を向ける。
 そのときだった。
―殿、嘉宣さま。
 どこかでかすかに自分を呼ぶ声が聞こえて、嘉宣は眼を見開いた。
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