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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第7章 【終章】
木檜藩史上、橘乃こと橘の御方は、稀代の妖婦として記録が残されている。しかし、木檜嘉宣と橘乃の恋は、見方を変えることもできる。国を傾けた傾国の美女、妖婦と皆から疎まれ、蔑まれた少女の生きざまと愛する女を周囲の誹謗から守ろうとした男―、歴史を掘り下げてゆけば、恋に真摯に生きようとした二人の姿が自ずと浮かんでくるのではないだろうか。
ちなみに、嘉宣は五十七歳でこの世を去るまで、僧宣照として生き、英泉寺の一室で静かに息を引き取った。