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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 嘉宣は何げなく面を上げた。その刹那、嘉宣の視線と侍女の視線が交わった。相手もまた、大きな瞳を見開いて嘉宣を見つめている。
 その侍女はまだ若かった。若いとはいっても、十六、七くらいで彼とたいした違いはないだろう。膚が透き通るように白く、思わず手を伸ばして触れてみたい衝動に駆られるほど唇はふっくらと瑞々しかった。
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