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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 それにしても、見たこのとない貌だ。恐らくは新参の侍女なのだろう。そう思った時、ふと閃くものがあった。
「あの花は、そなたが活けたのか?」
 思うより先に言葉が飛び出していた。
 藩主直々に問われ、少女は初めて我に返ったようだ。慌ててうつむき、その場に平伏した。まだ御殿奉公に上がってまもない身がよもや殿から直接声をかけられるとは予想だにしなかったのだろう。
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