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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
 二人の婚約が取り決められたのは橘乃がまだ六、七歳のときゆえ、その間に恋愛感情が芽生えていたとは考えにくい。
 しかし、父親同士が幼なじみだという両家は橘乃が物心つくかつかぬ中から、頻繁に行き来していたという。成長するにつれ、二人の間に恋心が芽生え育っていったとしても何の不思議もなかった。
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