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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第3章 【壱】
「いえ、そのお話、謹んでお受けさせて頂きまする」
 その瞬間、輝姫は我が耳を疑った。
―今、この娘は何と申した?
「橘乃、この場には我ら二人しかおらぬゆえ、遠慮は無用。面を上げて、そなたの言い分をとくと聞かせてくれぬか。聞くところ、そなたには勘定方に仕える飯塚なる者と夫婦(めおと)の約束をしておるそうではないか。それを今更、約束を反故にしても良いと?」
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