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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第4章  【弐】
    【弐】

 この世の沈黙という沈黙をすべて集めたかのような深い静寂(しじま)の底に時折、かすかに響く声があった。絹のようなしっとりとした、それでいて熱を孕んだ灼熱の砂のような―極めて官能的な声だ。
「うっ、ぁああっ」
 橘乃のあえかな声が洩れる度に、白い膚が徐々にうっすらと染まってゆく。
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