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【Jazz Bar『Dance』 作品メモ】
第3章 花火の夜(短編集)
【花火の夜 ~健二と美月~】




花火の夜。

健二が風邪を引いた。

相変わらずのタイミングで、私は呆れながらお粥を作っている。




せっかく浴衣で見に行こうって、可愛い柄の浴衣を買って、健二の分は動きやすいようにって甚平を用意したのに、全てがパァ。

大体、籍を入れてから仕事が忙しくなったとかで、私達、まだ新婚旅行も行ってないのよ?

そりゃ、子供の頃から一緒にいたから、社会科見学から修学旅行、大学の卒業旅行まで、色々と行ってるけど、でも、一応は私達、今、新婚でしょ?

それが、花火の当日に熱を出すとか、遠足で知恵熱だす、子供か!

むくれてお粥をつくっていたら、おたまでご飯粒を潰しすぎて、いつもよりドロドロになっちゃった。

まぁ、いい!

私の気持ちは、今、このお粥みたいに、ドロドロなんだから。

拗ねて唇を尖らせたまま卵と味噌を入れて、火を止めると粗熱を飛ばしながら、おたまで味見をする。

私ってば、こんなに苛立ってるのに、味見してあげるとか、新妻の鏡!

誰か、褒めて欲しい。

そんなことを思いながら、出来たお粥を器によそって、スプーンを突っ込んで。

お皿をトレイに乗せた私は、寝室へ移動した。


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