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夢見桜~ゆめみざくら~
第3章 夜の哀しみ
もし本当にそうなれば、どんなにか幸せだろう。でも、今の吟は一馬に靡(なび)くことはできない。だからと言って、自分の身体を力づくで組み敷く一馬を心底から憎んでいるのかと問われれば、はっきりとそうだとは応えられない。
それに、哀しいことに、一馬との夜に吟の身体は次第に馴れ始めている。いくら乱れまいと歯を食いしばっても、吟の身体は一馬の指先の動き一つで敏感に反応してゆく。このままでは、いつか心とは相反して、吟は一馬
の前で自分から足を開くようになるかもしれないとさえ思う。そんな自分を想像しただけで、吟は気が狂いそうになる。
めぐる想いに応えはない。
雨に打たれた紫陽花はしっとりと露の雫を帯び、心なしかわずかに色が深まったように見える。だが、吟には雨に濡れた紫陽花が悦んでいるというよりは泣いているように思えてならなかった。
それに、哀しいことに、一馬との夜に吟の身体は次第に馴れ始めている。いくら乱れまいと歯を食いしばっても、吟の身体は一馬の指先の動き一つで敏感に反応してゆく。このままでは、いつか心とは相反して、吟は一馬
の前で自分から足を開くようになるかもしれないとさえ思う。そんな自分を想像しただけで、吟は気が狂いそうになる。
めぐる想いに応えはない。
雨に打たれた紫陽花はしっとりと露の雫を帯び、心なしかわずかに色が深まったように見える。だが、吟には雨に濡れた紫陽花が悦んでいるというよりは泣いているように思えてならなかった。