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第6章 デート

少し俯きがちに暗い表情を浮かべる璃子を見て、椿がクスッと笑う。





「そうですよね。こんな若い子……二階堂先生と並んで立っていると、妹にしか見えないですよ」

「そうですか？」




翔も一緒に笑う光景を見ると、璃子は萎縮し、この場から早く立ち去りたい気持ちさえ湧き上がってきた。

翔が椿に頭を下げながら足を動かし始めると、ホッとする。





「じゃあ、また高校で。行こう、璃子ちゃん」

「あ……はい……」





話し掛けられると返事をし、璃子も翔の真似をして椿にお辞儀をする。

その瞬間椿から腕をグイッと引っ張られ、小声で話し掛けられるとは思わなかった。





「二階堂先生ね、結構やり手って噂だから。あなた、遊ばれないように気をつけなさい」

「えっ……」

「先輩からの忠告よ」






耳元で聞こえてきた声に驚き、返す言葉に困っていると、ニコリと微笑まれる。

そのまま璃子の腕を放すと、今度こそ椿は翔と璃子に向かって手を振った。






「じゃあ二階堂先生、また高校で」





その笑顔は、呆然とする璃子へは向けられなかった。