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第1章 ゼンギは人混みの中から

嫌がられたり、声を上げられたらどうしようとの迷いも感じたが、えいやっちまえとばかりに開き直りで前を向いたまま麻由美の手のひらに指先を当ててみた。

再び感じる女の柔らかな肌の感触に中学生のようにドキンしてキュッと心臓がしまる。

冷や汗がこめかみを流れるような感覚、隣の麻由美がチラッとこちらを見たような気がした。

サッと手を引かれて拒否されることを覚悟したのだが、どうしたことだろう、麻由美は包み込むように柔らかくその指先を握り返してきた。

望み得ないような最高のリアクション。

心臓は高鳴り、こめかみ辺りで血管がドックン、ドックンと脈打った。