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脱出小説
第3章 6
「やれやれ、人が必死に爆弾を解除している間に随分呑気なものですね」
背後からの声に私たちは慌てて身体を引きはがした。
「安戸! 驚かすなよ」
「ビックリしたのはこちらですよ」
泰人の抗議に、安戸はいつもの慇懃無礼な口調で応じた。
私が尋ねる。
「爆弾……解除できたの?」
「ええ、なんとか」
「じゃあ……俺たち助かるのか?」
「私の思念が安心しているように感じますか?」
言われて泰人が顔を曇らせる。
泰人はテレパシストだ。相手の思考が読める。
そんな能力を持っていない私のために安戸が説明する。
「爆弾の解除はできました。だが問題の根本は……」
つまり、私たちは閉じ込められたままということだ。
この地下施設に。
しかもテレキネシス遮断ルームであるこの部屋から一歩も出ることができないということだ。
あの狂った超能力コンピュータをどうにかしない限り。