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脱出小説
第5章 7
私には以前から安戸の能力は謎だった。
タイムリッパー。
時間を断裂させると聞いてもピンとこない。
「似たようなものなんですけどね、貴女のテレポートと」
安戸はいつもそうたとえる。
「貴女の場合、空間的に不連続に存在することができる。瞬間で移動するというのはそういうことです」
これはいい。
私も自分の能力がそうだということは理解している。
「私の場合それが時間的にそうなっているだけですよ」
「じゃあ、タイムトラベルをしているってこと?」
「いいえ、違います。なんというか……時の因果を並べ替える? そう……そうですね。そう言ったほうがしっくり来る」
安戸的にはしっくりくるのかしれないけれど、私的にはどう言われてもしっくり来ない。
でも、超能力なんてそんなものかもしれない。
使える本人にしかわからない感覚なのだ。