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ふにゃふにゃ
第1章 始まり


「確かに、手が好きです。でもそれは好きな人の手だから、触って欲しいと思うんです。私、本当に慎太郎さんが好きなんです…信じて下さい!」


会って数時間で、人をそんなに好きになるものだろうか…?

疑わしいが、目の前で涙ながら伝えている世那はそうらしい。

そして、慎太郎はこうも思う。こんな可愛い子に今後、告白される事なんてない、と。


「俺はこの顔で、彼女が出来るとか思ってない…よく悪い奴等に絡まれて、ケンカすることだってある。巻き込みたくないから、一人でいたいってのが本音だ。でも、納得しないんだろ?」


何度も頷く世那は、そんな理由では本当に納得しなそうだ。


「どんな理由があっても、私の気持ちを否定しないで下さい…好きなんです…貴方と一緒にいたいんです」


……駄目だ

慎太郎は薄汚れた天井を見上げながら、世那を抱き寄せた。

こんな真剣に何度も『好き』を繰り返されたら、まとわりつかれるより、傍においた方が良いのかもしれない。

慎太郎は決心する。


「分かった、つき合う。好きにさせてくれるんだろ?」


「はい、はいっ…慎太郎さん!」


今後こそ飛び付き、抱きついた世那は、再び慎太郎の唇を奪った。

キスをしながら、思う。

世那を傷つけないよう
守っていかなければ、と。


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