この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ふにゃふにゃ
第1章 始まり
「確かに、手が好きです。でもそれは好きな人の手だから、触って欲しいと思うんです。私、本当に慎太郎さんが好きなんです…信じて下さい!」
会って数時間で、人をそんなに好きになるものだろうか…?
疑わしいが、目の前で涙ながら伝えている世那はそうらしい。
そして、慎太郎はこうも思う。こんな可愛い子に今後、告白される事なんてない、と。
「俺はこの顔で、彼女が出来るとか思ってない…よく悪い奴等に絡まれて、ケンカすることだってある。巻き込みたくないから、一人でいたいってのが本音だ。でも、納得しないんだろ?」
何度も頷く世那は、そんな理由では本当に納得しなそうだ。
「どんな理由があっても、私の気持ちを否定しないで下さい…好きなんです…貴方と一緒にいたいんです」
……駄目だ
慎太郎は薄汚れた天井を見上げながら、世那を抱き寄せた。
こんな真剣に何度も『好き』を繰り返されたら、まとわりつかれるより、傍においた方が良いのかもしれない。
慎太郎は決心する。
「分かった、つき合う。好きにさせてくれるんだろ?」
「はい、はいっ…慎太郎さん!」
今後こそ飛び付き、抱きついた世那は、再び慎太郎の唇を奪った。
キスをしながら、思う。
世那を傷つけないよう
守っていかなければ、と。
.