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水蜜桃の願い
第3章  記憶の中の彼女


ふと、目が覚めた。

室内はぼんやりとした灯りに照らされている。
俺に寄り添うようにしている彼女の寝顔が視界に入り、その頬にかかっている髪に指先を伸ばし、耳へと流す。
一房戻ってきたそれを再度避けさせると、ん……と彼女の形のいい唇から声が微かに漏れた。

その身体が動き、俺の腕に回していた両腕をさらに……まるでしがみつくようにして絡めてくる。
口元が笑みを作り、俺の腕にすりすりとまるで猫のように頬を寄せてくるその仕草に、また頬が髪で隠れた。

苦笑しながらその様子を見つめていると、やがて彼女の動きは止まる。
少し乱れていた呼吸は次第に規則的になり、すうすうと微かな寝息が再び聞こえ始めた。

また、そっと彼女の顔をあらわにする。
すっかり目が覚めてしまった俺は、彼女の名を小さな声で呟きながら、色々な感情を味わった今日のことを静かに思い返し始めた。


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