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第3章 　記憶の中の彼女

それはたぶん、さっきの彼女の姿を見て、遊びで抱くべき相手じゃないと思ったからか。
一度でも手を出したら面倒なことになるかもしれないという、狡い気持ちからなのか。
どちらも、なのか──判断がつかないままでいた俺の耳に届いた言葉。


「……それでもいいって言っても……だめ……？」


付き合わなくてもいいと。
身体だけで構わないと、それはそういう意味のはずだった。

返事をせずにいた俺に
『お願い……先生っ……』と、さらに。


自分に対し、何らかの感情のある子を抱いたことなんて今までない。
身体だけでいいと今は言っていても、本当にこの先もそれで済むだろうか。
俺は誰とも付き合う気はない──それは今も、変わっていなかった。


だから。


「……一度だけだよ」


それは、狡い俺がさらにひいた予防線────。


「次からはちゃんと生徒……やれる？」


教師と生徒を離れるのは今日だけ。
あとはまた、それに戻る。
彼女が、俺のそんな勝手な言葉を受け入れるというのなら────。