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第3章 　記憶の中の彼女

──これから、どうなる。


静寂の中、そんなことを考えた。


生徒と一線を越えてしまった。
彼女の想いにほだされ、こうして俺は────。


そこまで考え、いや……とそれを打ち消した。


拒もうと思えば拒めた。
教師という立場を貫き通そうと思えば、彼女がたとえ何を言ってきても受け入れずに『もっと自分を大事にして』──そんな定番のセリフか何かを口にして拒めたはずだった。


なのに、そうしなかったのは。


卑怯な言葉を何度も口にして。
それでもいいならと狡い言い方で彼女に責任を全部押し付けて。


そうして結局、抱いたのは────。


……大きく、深く吐いた息。

教師としてあるまじき行為だな──そう思い、もしこれからも関係が続きそうな雰囲気になったら、そのときはもうきっぱりと家庭教師をやめた方がいいのかもしれないと、そう思ったときだった。

先生……と、彼女に呼ばれたのは。


「後悔……してる？」


俺の心を見透かしたかのような言葉を、彼女が問うてきたのは。