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水蜜桃の願い
第3章  記憶の中の彼女


混乱している頭の中。
今はここに? なんて当たり前のことを聞いている自分がいた。
頷く彼女に、そうなんだ、と呟いて返しながら思っていた。



……まさか。
まさか、またこんなふうに彼女に会うなんて。



こんな展開、これっぽっちも想像もしていなかった。
彼女は俺の記憶の中だけで。
時折……昔のこととして思い出す、そういう存在だったはずなのに。


「……久しぶり、だね」


起きていることが処理できないままに笑いかけようとすれば、なんだかうまくできなくて。
それでも極力そうやって、彼女を見る。

彼女ははっと我に返ったような反応をした直後、勢いよく俯いた。

そうだ、彼女はよくこんなふうに──そう、記憶は次々に甦り、変わらないな……と、思わず笑みが深くなる。


俺はこの再会を喜んでいるのか、何なのか──正直自分でも判断がつかない。


けれど。



……また彼女に会えた────。



胸に渦巻いたその感情。
それは自覚せざるを得ないぐらいに確かなものだと……それだけは、わかっていた。





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