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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
……気づけば、彼女と別れてからもうかなりの時間が経っている。
気になって仕方なくて。
彼女が今どうしてるのか、知りたくて。
『家に着いたら連絡して。心配だから』
つい、そんなLINEを送ってしまった。
そして、すぐに届いた返事。
目にした瞬間、は……? と思わず声が漏れた。
『さっきの同僚とまだお店にいます。
もう少ししたら帰ります』
──何、それ。
あのとき『少しだけだから』ってあいつに言ってたよな?
なのに、何でまだ一緒にいんの?
あんなあからさまな態度見せられてたら、あいつが自分に好意あるってことぐらいもう気づいてるだろうに。
酔ってどこかに連れ込まれたりでもしたらどうするつもりなのか────。
彼女の警戒心のなさに苛ついた。
同僚だからって安心してんの?
俺をあんな挑むような目で見てきた男なんだけど。
……苛々する。
何でこんなに苛々するのか意味がわからない。
あいつにも、彼女にもただ腹が立っていた。