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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
──呼ぼうか、彼女を今すぐここに。
そうしたいんだろ?──そう、自分に問いかける。
だから部屋をとったんだろ?──でなければこの行動の理由が説明できないと。
けれど。
……呼んで、どうする。
そんなふうに躊躇う気持ちもある。
彼女をここに呼んだら、きっとそういう関係になってしまうだろう。
それが目的じゃなくても、ホテルの部屋という密室でそういう雰囲気になったら、俺は自分を止める自信がない。
決めたはずだ。
少しずつ、そうやって彼女に接するって。
ちゃんと自分のこの感情が──彼女の想いに見合うぐらいの感情が俺にもあるのかわかるまで、そうするって。
そこを曖昧なままにして彼女とどうにかなったら、昔のようにおかしくなるだけだ。
そんな自問自答を繰り返した。
ずっと。