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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


熱くて、ぬるぬるしていて……柔らかいそこの感覚。
自身に纏わりついてくるような何かに、ぞくぞくとしたものが背中を走った。

腰を引き、そしてまた突き挿れる。
ゴムをつけてないせいもあるからなのか、頭の芯が痺れそうになるぐらい彼女のなかは気持ちいい。

引くときの、なかで引っ掛かるように擦れる感覚。
突くときの、こじ開けるような感覚。
どちらも、たまらなくて。


「んっ、あっ……ああっ、っあんっ……!」


彼女の発する甘ったるい声。

思い出す。10年前を。
確かに俺はこの子を抱いた。
その記憶と今が、時に重なる。

けれどあのときよりさらに官能的な反応をするようになっていた彼女から、その10年が垣間見えた気がした。
自分のことは棚に上げ、胸中に渦巻いた複雑な感情を消し去るように、攻める動きを速める。

絶え間ない喘ぎ。
彼女は俺の動きに合わせるようにいやらしく腰を振り、さっきまでの躊躇いが嘘のように貪欲に俺を求めていた。
それを揶揄すれば、だって──とその言葉ばかり何度も口にして、まるで先を俺に想像しろとでも言っているようで。


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