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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


……そして過ぎていく、月日。


俺の思惑は外れていた。

あのあとも、彼女は誘いに応じ続けている。
まともに言葉すら交わさず、会えばすぐに始めるセックス。
終わればあとはただ、彼女をその場に残して俺は帰るだけ──という、いかにもなセフレ扱いを続けているというのに、断ることなく次も必ずホテルへとやってくる。

最初のうちは何か言いたそうな様子でいた彼女も、次第にそうではなくなっていった。

ただ、帰るために身支度を整えているときに、不意に言葉が落とされることはある。
それは独り言のような呟きでもあったり、俺に対する質問でもあったり様々だったけれど。


たとえば、そう──こんなやりとりがあった。


『先生は彼女、欲しいって思わないの?』


帰り際の、突然の問いかけ。
思わない、と返せば


『どうして?』


続いた、さらなる問いかけ。
面倒だから、とまた一言だけ返す。
それでもまだ質問は繰り返された。


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