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水蜜桃の願い
第4章 動き出した刻
──次、はあるのか。
それともこれで終わりなのか。
そんなふうに感じながらも、先生ってこんな人だったんだ、と早く俺に失望してほしいと思った。
身体だけの扱いをする男なんて、ともういっそ嫌ってほしい。
幻滅して、目が覚めて、俺から離れていけばいい────。
エレベーターに向かって歩きながら、また、深く息を吐いていた。
でも実際嫌われたらきっとかなりのダメージを受けるんだろうな、とそんなことも頭に浮かぶ。
はは……と口元が歪み、まるでそうなりたくないかのような考えに、俺はいったいどっちを望んでるんだよ、と自身に問いかける。
自嘲気味な笑みはそのまま貼り付いてしまったかのように、なぜか消すことができない。
──答えなど結局出ないまま、夜がさらに深まっていく様子を感じながら家への道をひとり、歩いた。