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第4章 　動き出した刻

そのやりとりがきっかけだったのか、その頃から彼女の態度が少し変わった。

誘いに応じるのはいつも通り。
けれど、それまではどちらかというと受け身に近かった抱かれ方。
それが、積極的に俺を求めるようになった。

自ら俺自身に舌を這わせ、咥えながら足を開き、濡れたそこに伸ばした指をくねらせる。
そんな大胆なことをしながらも、あげるのはどこか控えめで、甘ったるい掠れ声。
そんなふうに、いやらしく俺を挑発し、乱し、声をあげ、ねだる。


──もしかして、身体だけでいいと割り切ったのか？


その変化に、そんなふうに感じた。


──俺がそれを求めるなら、彼女ももうそれでいいと？


その身体にさらに溺れそうになっている自分を自覚しながらも、彼女からそう思われることに対しての複雑な感情も間違いなく存在していた。

今まで女に対してはそういう関係だけを求めていたんだから好都合じゃないか、という考えと、彼女にはそんな関係は似合わない、という気持ち。
そうさせてるのは誰だよ、という自己嫌悪。
早く俺を見限ってほしいと思いながら、一方では、彼女がこういう関係でも構わないというなら──と、狡い考えにも囚われそうになる。


……そんな、自分でもよくわからない状態。