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水蜜桃の願い
第4章  動き出した刻


──だったら。


そう……だったら。
どうせ会うなら。
会わなければならないのなら────。


束の間の葛藤。
答えはひとつしかなかった。


『わかった。会うよ』


そう、送っていた。
あれ以来、初めての返事だった。


深く、溜め息をつく。


決心が鈍らないように、会うことを避けていたのに。
彼女と会えば、きっと俺は揺らされる。
だめなんだ。
彼女の感情は俺をどうしようもなくさせる。
その、自覚があるのに────。


返ってきたメッセージを確認し、わかったとそれだけを送る。

彼女は俺に何を言うつもりなのか。
どんな話をするつもりなのか。
それは、恨み言なのか。


……最後だ。
それが、本当に。
黙って聞いて、受け入れる。
それですべてが終わる。
終わらせられる────。


そう自分に言い聞かせた。
どんな非難をされてもいい。
それで彼女が俺をふっ切れるというのなら。
俺はもう、何でも。


あのときのぎこちない表情。
やがてみるみるうちに潤む瞳。
苦しそうに歪んでいく口元。
悲痛なその泣き顔が、頭から離れない。
……それが、最後に見た彼女の姿だからか。


会うことで、それは違う表情に上書きされるんだろうか。
それとも、そのまま──脳裏に焼き付いているあの表情のまま?


そんなことを、ぼんやりと思ったりした────。




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