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水蜜桃の願い
第5章 甘やかな願い
それから一週間後────。
その家の前に立ち、呼び鈴を押す。
ドアはすぐに開かれた。
顔を出したのは、久し振りに会う彼女。
静かに俺をただ見る、その姿。
「仕事があるから、あまり時間は取れないよ」
そう告げると、わかってる、と真っ直ぐに俺を見つめる。
そして、すっと身体をずらす。
「どうぞ」
その言葉に俺は、中へと足を踏み入れた。
通されたリビング。
再会したあのときと同じ場所に俺は座り、彼女はそのまま台所へと立った。
──いったい、どんな話をされるのか。
黙ったままで、想像していた。
いろいろな言葉を。
もしあのときのように泣かれたら、俺はそれをまた振り払えるだろうか。
それならまだ、責められる方がましだと思う。
彼女の泣き顔は……正直、見ているのがつらくて。
その苦しさは、まるで伝染するかのようで────。