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水蜜桃の願い
第5章  甘やかな願い


「……透子ちゃんと再会してから、他の女としてないのは本当」


濁すのではなく。


「そんな気にならなかったしね」


もう、誤解も何もないように。


「……なんで?」


答えなど本当はわかっているはずなのに、ぽつりと落とされた言葉に口元が緩む。


「わかってるくせに聞くんだ」


ん? と、視線を合わせ、少し意地悪な言い方をすると


「……何度だって聞きたいの」


俺をじっと見つめ返しながら


「いっぱい聞きたい……先生の話」


俺をもっと知りたいと、だから何でも、もっと話してほしいと願う愛しいその姿。


「……だから、教えて?」


囁くようにねだる甘い音が、心地よく頭の中をまわる。
じわじわと、何だかたまらない気持ちに襲われた。


ああ────。


……好きだな、と思う。本当に。


抱き寄せた柔らかさ。
抵抗もなく応じた彼女は俺の身体に腕を回してぎゅっとしがみつくようにしてきた。


……彼女のすべてがこんなにも愛しい。
もう離したくない。
離せる気がしない────。


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