パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 　甘やかな願い

やがて、なんで……？　と、続きを求める声がした。
なんでほっとしたの？　と。


ごくり、と飲み込んだ唾液。
……柄にもなく緊張していた。

想いを素直に口にすることは、今までそうしてこなかった自分にとっては簡単なことではなかったけれど。

それでも────。


「……できれば手放したくなんかない──抱けば抱くほどそんな気持ちが大きくなっていくことに自分でも気づいていたから」


一気に言い切り、深く息を吐く。


「でも俺を嫌いになるようなそんな扱いを今までさんざんしておいて、今さら手放したくないとか……どう考えても勝手すぎだろ。
自分にほんと呆れていたよ」


口にすれば、さらに自分がしてきたことをあらためて突きつけられた気がした。
彼女がそんな俺に視線を向ける気配。
気づいたけど制することはできず、けれどそんな自分をやっぱり見られたくなくて、咄嗟に自分の目を腕で隠した。

それでも、最後まで。
そう──あのときの、俺を。
全部、この子に。