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最後の一色
第15章 20日目・・2人での休日
「これも運命なんですよね・・
涼輔さんも言ってたでしょう?結婚には縁がなかった、それも人生だって。
あの言葉を聞いてあらためて私もそう思うことができたの」
「そうか・・辛かったね。
でもその辛さを人生だと受け止められる強さがあなたにはある。
今は・・ご主人との間にほんの少しズレがあるかもしれないけど・・
必ず元に戻る時はくるはずです・・」
ゆっくりと起き上がる涼輔は、美紗緒と並ぶようにして同じ方向を見つめた。
駆けずり回る小さな子供、追いかける母親、
つないだ手を大きく揺らしながら歩く若いカップル。
同じ光景を目に焼き付けながら、
隣りにいるこの人は今、なにを想っているのだろう、と
涼輔は美紗緒の横顔を見る。
その横顔が動いた。
自分のほうへとむけられた、うるんだ瞳と視線をかわす。
そこには、今の自分と同じ事を考えているのを窺わせる色がある。
そう涼輔には見えた。