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最後の一色
第21章 最終章:運命の導き

「みさおせんせいはおかしつくるのじょうずだね」

「あら、先生は涼輔先生だけよ、
 おばちゃんはお菓子を焼くことしかできないんだから」

「だって、りょうすけせんせいがいってたよ、みさおせんせいは
 おかしのせんせいだって」


まぁ、と美紗緒は鼻にシワを寄せて笑いながら愛する男に目を向ける。

こんなにも幸せな時を過ごさせてくれる涼輔に、出会えてよかった、としみじみ思う。
まだ始まったばかりの新しい生活だが、
鮮やかな彩の毎日が待っているはずだという期待だけが心を占めていた。


「美紗緒さん、終わったよ」

「はい」

涼輔のもとから子供たちが美紗緒にむかって押し寄せる。

「さあ、おやつの前に手を洗って」

「はぁい!」


子どもたちの明るい声が響き渡る小さなアトリエ。
外には芽吹いたばかりの木々の葉と、
春を待ちわびて目覚めた花々が風に揺れる。
まぶしさに手をかざして空を見上げると、
鮮やかな青一色に染められていた。

私たち2人の未来の色だ・・

美紗緒は涼風に髪をなびかせながらしばし空を仰いだ。






end


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