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最後の一色
第2章 男が求めるのは

「どうか・・お願いします。一日一時間で構わないんです。
毎日来てもらわなくてはなりませんが・・1ヶ月ほどで完成させます。
だから1ヶ月だけ、僕にあなたの時間をください、お願いします!」
テーブルに頭がつくんじゃないか、それくらい深く頭を下げる田原に、
美紗緒はかすれた声でやめてください、と絞り出した。
「・・あの、わかりましたから・・どうぞ頭をあげてください・・」
中途半端に腕を伸ばし、テーブルと一体化しそうなくらい低い位置の
男の頭の横を右往左往させた。
その気配に田原は徐々に頭をあげる。
上げきってから美紗緒と目を合わせると、期待以上の
穏やかな眼が自分を見つめていた。
「・・私なんかでよければ・・その・・お引き受けします・・」
美紗緒も頭を下げた。
男の頼みをきいてやるというよりも、高額な仕事に雇ってもらう。
そういうつもりで頭を下げたのだ。
時給1万円・・
一日一時間を毎日。
それくらいこの時給なら苦とは全く思えない。
これで約束の1ヶ月ほどでお金が返せる・・

