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最後の一色
第20章 流れる月日
街路樹が葉を落とし、
鉛色の空が頻繁に顔を出す季節がやってきた。
涼輔と過ごしたと言っても過言ではないあの夏が
ついこの間のように感じるが、
すでに空気は晩秋の冷たさを漂わせていた。
美紗緒の生活も以前と同じ、一人の時間をやり過ごす日々に戻っていた。
だが、前みたいにただやり過ごすのではない。
涼輔の帰りを待ちながら、美術館や画廊にたびたび足を運ぶようになった。
あのギャラリー・雫にも、涼輔の絵を見に行った。
彼の絵を見ながらスタッフの佐竹に涼輔のこれまでの作品のあれこれを教えてもらった。
加えて彼の人となりも。
彼の絵を見て、彼の事を思いだして、
美紗緒は心を満たしながら、涼輔の帰国をひたすら待った。