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最後の一色
第20章 流れる月日


歳の暮れの慌ただしさが押し寄せてくる。

師走の日々は涼輔を待つ寂しささえも吹き飛ばすほど足早に過ぎていく。
新しい年を迎える準備に追われているといつの間にか、
涼輔への想いがいったん心の奥底に仕舞われた。


そして迎えた新しい年。

40歳になり、夫と迎える15回目の正月。
繰り返してきた相変わらずの光景が、今年は少し違って感じる。
それは、自分の中に夫以外の男が存在しているからだ。

忙しさから解放されるとちゃんと戻ってきた。
涼輔への想いが。
一人になると彼に愛された時の事を思い出しながら、
そっと乳房に手を伸ばしてみたりする。
彼が優しく愛撫してくれたこの胸が、しっかりと記憶している・・

はやく・・あなたに会いたい・・

美紗緒は空を見上げるたびに、
涼輔のいる異国につながっている空を見上げるたびに、
愛することの喜びに浸った。



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