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最後の一色
第2章 男が求めるのは


喫茶店を出るころには、外灯が光を放ち、
空も淡い紺色を思わせる色づきに変わっていた。


田原涼輔とは店の前で別れた。

軽く手を振りにぎやかな人ごみへと紛れていく後姿を見送ってから、
美紗緒も駅へと向かって歩き出す。

人の波は確実に、昼間のそれとは違う。
夜がもたらす開放感を目指してうごめく人々をかき分けながら出勤せずにすむ・・

新宿の繁華街で、水商売以外の仕事を見つけることができて、
やっとため息の鎖から解き放たれるのだと、
美紗緒の足の運びは信じられないほど軽くなった。




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