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最後の一色
第1章 ため息の中で
新宿東口から歌舞伎町へとあてもなく歩く。
昼間の顔はただただ人がごったがえす繁華街、といった面持ちだが、
これが夜になるとどうなるのか・・
買物をしに来る客と違って、夜の快楽を楽しみにくる客達に対するイメージは、
騒々しさと荒々しさばかりが思い浮かぶ。
普段、夜歌舞伎町に来ることなどまずない美紗緒にとっては
未知の世界と言ってもおかしくないくらい、その顔を知らない。
だが、そんな不安を封印してまでこの街にやって来たのは、
何かしらの仕事が見つけられるだろうと、
ただそれだけの理由からだ。
バーやクラブなどの看板が縦に連なる雑居ビルを見つけては
1階の求人募集の掲示板を見る。
正直、やりたくはない類の仕事だが、
手っ取り早くお金を手にするにはこれくらいしかできない・・
美紗緒はホステス急募の文字をじっと見つめてはため息をついた。