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最後の一色
第5章 2日目

2日目。

言われたように、涼輔の前でガウンを脱ぐことに躊躇いの時間はみじんもなかった。

アトリエに入りソファの前に立つと、流れるような動きで
ガウンを床に落とす。

「本当だわ・・田原さんの言う通り、
 たった一度でも通り過ぎてしまえばすぐに慣れてしまうのね・・」

ソファに腰を下ろしてから体を横たえ
昨日のポーズを思い起こすようにして体勢を整えた。

「よかったです、そう言ってもらえて。
 じゃあさっそく、始めましょうか」

美紗緒にスケッチブックを見せながら、ポーズを正確に再現する。
わずかなズレは、言葉で説明して美紗緒自身に直してもらう。
涼輔が体に触れたりはしなかった。

保たれた距離感。
僕を信じて、と言った涼輔の誠意が十分すぎるほど伝わってきた。

美紗緒は安心して、無心になった。


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