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最後の一色
第5章 2日目
1時間はあっという間に過ぎていく。
終わりの声に体を起し、ガウンに手を伸ばす。
「あの・・」
美紗緒はガウンを羽織り、紐を縛りながら片づけをする涼輔に近づいた。
「どうしました?」
「絵を・・見てもいいですか?」
はじめる前に見せられたスケッチブックは、
大まかな線が横たわる裸婦の体を形作っているだけだった。
2日目の今日、その線はどんな陰影を添えたのか、見てみたいと思った。
「ええ、いいですよ」
涼輔はスケッチブックを開いて差し出した。
そこに描かれている白黒の自分。
これが画家の目に映った自分の姿・・
表情は、濃く薄くではっきりとは見て取れないが、
幾重にも重ねられた線が柔らかいのが素人の美紗緒にもわかった。
思わず顔をほころばせた。