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最後の一色
第5章 2日目
「これが・・私?」
口角をあげながら、描かれた自分をじっくりと眺めた。
今はスケッチブックの中の白黒の裸婦だが、
これがキャンバスの上で色が足されたらどんな私が現れるんだろう・・
「まだデッサンですからね、美紗緒さんの美しい表情を細かくは描いていないですけど。
うんと美人に描きますからね。あ、ちょっとわざとらしかったですか?」
髪をかきむしりながら高い声で笑う。
涼輔の自然な目じりのシワが、
美紗緒の心に穏やさを浸透させた。
「今日は庭のハーブを摘んでハーブティーにしましょうか」
笑いを引きずりながら庭へと飛び出す涼輔の後姿を見つめる。
そよぐ風が涼輔のシャツの裾を揺らし、レースのカーテンを軽々となびかせる。
久しぶりに感じた、穏やかな昼下がり・・