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最後の一色
第7章 6日目

6日目。

ポーズはすっかり身について、ソファに横たわればすぐに、
スケッチブックの中の自分と同じ体勢に整えられる。

昨日は恥ずかしい話を聞かせてしまった。
だからというわけではないが、今日は聞かせるのではなく
聞いてみようと、キャンバスの向こう側の涼輔に話しかけた。

「聞いてもいいかしら?」

「え?僕に?」

ソファの美紗緒からは涼輔の顔が見えない。
角度的にキャンバスの陰になってしまっていたのだが、
美紗緒の声に横からひょいと顔をのぞかせた。

「なんですか?」

「田原さんはどうして画家になろうと思ったの?」

ありきたりの質問だが、画家・田原涼輔の人生、そして
どういう絵を描きどこでそれを目にできるのか、
モデルをしていてそこにふれないのはかえって不自然かと美紗緒には思えた。

涼輔の顔は再びキャンバスで隠れ、その向こう側から静かな声で話し始めた。


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